こんにちは、まりんハウスです。
「家で爪切りをしようとしたら暴れてしまって最後までできなかった」「血が出たらどうしようと思うと怖い」――そんなご相談を本当によくいただきます。
猫ちゃんの爪切りは、ただ伸びた部分を切ればいいというものではありません。実は 猫ちゃんの身体の構造を理解しているかどうか で、ケガやストレスのリスクが大きく変わってきます。今回は動物看護師の視点から、お家で安全にできる爪切りのコツをお伝えします。
まず知ってほしいこと:猫の足は「横には開かない」
爪切りで一番多い失敗は、猫ちゃんを抑え込もうとして 足を横に広げてしまう ことです。
人間の腕は、肩から真横に大きく広げることができますよね。万歳もできますし、両手を翼のように広げることもできます。でも、猫ちゃんの足はそうではありません。
猫ちゃんの肩関節と股関節は、基本的に 前後(縦方向)の動き に特化しています。歩く、走る、ジャンプする、木に登る――これらはすべて足を前後に動かす動作ですね。一方で、人間のように足を真横にぐっと開く可動域は持っていません。
つまり、爪を切ろうとして前足を「ひじを横に張らせるように」引っ張ったり、後ろ足を外側に開かせたりすると、関節に無理がかかります。
猫ちゃんが嫌がって暴れるのは、ワガママではなく 痛いか、痛くなりそうで怖いから。これを知っているだけで、爪切りの成功率がぐっと上がります。
正しい足の持ち方
爪切りのときは、猫ちゃんの足を 身体の自然なラインに沿わせて、前方向にそっと 持ちます。後ろ足も同じで、無理に外側に開かず、お腹側にゆっくり引き寄せる感覚です。
猫ちゃんが普段、自分でグルーミングをするときの足の動きを思い浮かべてください。あの可動域の中で作業するのが、猫ちゃんにとって一番ラクで、私たちにとっても安全です。
爪を切る「角度」――ここが一番大切
猫ちゃんの爪をよく見ると、半透明の鞘(さや)のような形をしていて、中に ピンク色の部分 が透けて見えますね。このピンク色の部分は クイック と呼ばれる、血管と神経が通っている場所です。ここを切ってしまうと出血しますし、猫ちゃんもとても痛がります。
切っていいのは、クイックよりも 2mm以上手前 の、透明な部分だけです。
刃を入れる向きと角度
爪は自然に下向きにカーブしていますね。爪切りの刃の入れ方には、覚えておきたいポイントが3つあります。
1つめは、爪の先端の尖った部分だけを落とすイメージで切ること。 深爪を防ぐため、欲張らずに先端のごく一部だけを切ります。
2つめは、刃を入れる向き。 爪を真横(爪の左右を挟む向き)から潰すように切ると、爪が縦に割れてしまい猫ちゃんが痛がります。必ず 上下から挟む向き で、つまり爪の生える方向に対して垂直に刃を入れてください。
3つめは、刃の角度。 爪のカーブに沿わせるように、 約45度の角度 で当てるのが目安です。爪の自然な丸みに合わせると、切り口もきれいに仕上がり、爪がささくれにくくなります。
実際の手順
ここまでのポイントを踏まえて、流れをまとめます。
まず、リラックスしているタイミングを選ぶことが大事です。ご飯のあとや、お昼寝から起きてまったりしている時間がベスト。遊んだ直後や興奮しているときは避けてください。
次に、猫ちゃんを膝の上か、床に座らせます。後ろから抱え込むよりも、横並びでくっついている方が嫌がりにくい子が多い印象です。先ほどお伝えした通り、足は 横に開かない自然な方向で そっと持ってください。
足を持ったら、肉球の少し上、指の付け根を上下から軽くつまんでみてください。爪がスッと出てきます。強く押す必要はありません。
そして、透明な先端だけを クイックの2mm以上手前で カット。1本切るごとに一度手を離して、猫ちゃんの様子を見てあげましょう。
最後にとても大切なこと――一度に全部切ろうとしないでください。1日1〜2本でも全然大丈夫です。何日かに分けて完了させる方が、猫ちゃんにとってずっとストレスが少なく済みます。
もし出血してしまったら
万が一クイックを切ってしまっても、慌てないでください。清潔なガーゼやティッシュで爪先を 数分間しっかり圧迫 すれば、ほとんどの場合は止血できます。お家にペット用の止血剤(クイックストップなど)があるとさらに安心です。
なかなか止まらない、何度も出血を繰り返すといった場合は、迷わず動物病院にご相談くださいね。
どうしても嫌がる子へ
「絶対に爪切りをさせてくれない」という子もいます。そんなときに無理やり押さえつけて切ってしまうと、 爪切り=怖いもの という記憶が強くなり、ますます難しくなってしまいます。
おすすめは、いきなり切ろうとしないこと。まずは足を触らせてくれるだけでおやつをあげる、爪切りの道具を見せて匂いを嗅がせるだけでおやつをあげる――そんな小さなステップから慣らしていくと、少しずつハードルが下がっていきます。
「1日1本切れたら花マル」くらいの気持ちでいると、お互いに気がラクですよ。
それでも難しい場合は、無理をせずプロにお任せください。まりんハウスでも爪切りを承っていますので、お気軽にご相談くださいね。
まとめ
爪切りで覚えておきたいポイントは、ぎゅっとまとめるとこの4つです。
- 猫ちゃんの足は 縦には動くけれど、横には開かない構造。無理に開かせないこと
- 切るのは クイックの2mm手前まで、透明な先端のみ
- 爪切りは 上下から挟み、約45度の角度 で
- 一度に全部切らなくてOK。猫ちゃんのペースを最優先に
爪切りは、猫ちゃんとの信頼関係を確かめ合う大切な時間でもあります。正しい知識で、お互いに気持ちよく終われる爪切りを目指しましょう。
ご不明な点や不安なことがあれば、いつでもまりんハウスまでお気軽にお問い合わせくださいね。