猫の毛玉はなぜできる?動物看護師が教える取り方と予防法

猫の毛玉はなぜできる?動物看護師が教える取り方と予防法 2026年10月31日 · @まりんハウス こんにちは。まりんハウスの動物看護師です。 トリミングでお預かりする猫ちゃんの中には、毛玉ができてしまっている子が少なくありません。「気づいたら固まっていた」「ブラシで取ろうとしたら怒られた」というご相談もよくいただきます。 今回は、そもそも毛玉はなぜできるのか、どんな種類があるのか、そしておうちでできる予防法まで、動物看護師の目線でお話しします。 ※ここでお話しするのは、被毛にできる「毛玉(毛のもつれ)」です。猫ちゃんが吐き出す毛の塊(毛球)とは別のものです。 毛玉はなぜできるの? 毛玉の正体は、抜けきらずに残った「抜け毛」です。 猫の毛は毎日少しずつ生え替わっています。抜けた毛はそのまま体から落ちるとは限らず、まわりの毛の間に引っかかって残ってしまいます。そこに体の動きによる摩擦や、皮脂・湿気が加わると、残った抜け毛同士が絡まり合い、だんだんと塊になっていきます。これが毛玉です。 特に毛玉ができやすいのは、次のような場所です。 • 脇の下、内もも、お腹など、動くたびにこすれる場所 • 耳の後ろや首まわり • お尻まわりやしっぽの付け根 また、次のような猫ちゃんは毛玉ができやすい傾向があります。 • 長毛種の猫ちゃん • 短毛でもアンダーコート(下毛)が密な猫ちゃん • 春・秋の換毛期 • シニア期や体型の変化などで、自分で十分に毛づくろいができなくなった猫ちゃん 毛玉には「取れる毛玉」と「取れない毛玉」がある ひとくちに毛玉といっても、状態によって大きく2つに分けられます。 種類 状態 対処 軽い毛玉(毛のもつれ) 表面の毛が絡まり始めた段階。指でつまむとほぐれる感触がある スリッカーとコームで少しずつほぐして取れる フェルト状の毛玉 抜け毛がぎっしり固まり、フェルトのように硬い板状になっている。根元まで詰まり、皮膚に張り付いている スリッカーでは取らない。バリカンで刈り取る できたばかりの軽い毛玉なら、ブラッシングでほぐすことができます。一方、時間がたって根元まで固まったフェルト状の毛玉は、もうブラシでほぐせる状態ではありません。 フェルト状の毛玉をスリッカーで取ってはいけない理由 フェルト状の毛玉は、皮膚にぴったり張り付いています。そこにスリッカーを入れて引っ張ると、毛だけでなく皮膚ごと引っ張られてしまいます。 猫ちゃんにとって、これはとても痛いことです。私たちの髪の毛を、根元から束でぐいぐい引っ張られるところを想像してみてください。 • 痛みから怒ったり、噛んだり、逃げたりする原因になる • 「ブラシ=痛いもの」と覚えてしまい、ふだんのブラッシングまで嫌がるようになる • 無理に引っ張ることで、皮膚が赤くなったり傷ついたりすることがある 「うちの子はブラッシングで怒る」という場合、実は毛玉を無理にとかされた経験が原因になっていることも少なくありません。 毛玉はハサミで切らず、必ずバリカンで 「ブラシで取れないならハサミで切ればいい」と思われるかもしれません。でも、ハサミで毛玉を切るのは絶対にやめてください。 猫の皮膚はとても薄く、よく伸びます。毛玉を持ち上げると皮膚も一緒に引っ張り上げられ、毛玉と皮膚の境目がほとんど見えなくなります。その状態でハサミを入れると、毛玉と一緒に皮膚まで切ってしまう事故が起こりやすいのです。動いてしまう猫ちゃんが相手なら、なおさら危険です。 フェルト状の毛玉は、バリカンで皮膚と毛玉の間に刃を入れ、少しずつ刈り取るのが安全な方法です。毛玉が大きい場合や、皮膚が弱っている場合もあるため、無理にご自宅で処理せず、サロンや動物病院にご相談ください。 まりんハウスでも、毛玉の状態を確認したうえで、猫ちゃんの負担が少ない方法で取り除いています。 毛玉を作らないためにできること 毛玉の予防でいちばん大切なのは、抜け毛をため込まないことです。方法は大きく2つあります。
- 定期的にサロンでお手入れする トリミングサロンでは、シャンプーやブローで抜け毛をしっかり取り除き、毛玉になりかけている部分もチェックします。おうちではとかしにくい脇の下やお尻まわりもケアできるので、定期的なお手入れが毛玉予防につながります。
- おうちで正しくブラッシングする おうちでのブラッシングは、スリッカーとコームの2つを使うのがポイントです。
- スリッカーで表面の抜け毛を取る。力を入れず、毛の流れに沿って軽くなでるように動かします。ピンを皮膚に押し当てないよう注意してください。
- コームで根元までとかす。スリッカーの後、コームが根元からスッと通るか確認します。
- コームが引っかかる場所があれば、その部分をスリッカーで少しずつほぐす。無理に引っ張らず、毛玉の根元を指で押さえて皮膚が引っ張られないようにします。
- 硬くて取れない毛玉は無理をしない。フェルト状になっている場合は、ご自宅で取らずにご相談ください。 スリッカーだけでは、表面がきれいに見えても根元に抜け毛が残っていることがよくあります。仕上げのコームで「根元まで通るか」を確かめることが、毛玉予防の決め手です。 長毛種の猫ちゃんはできれば毎日、短毛種の猫ちゃんも換毛期はこまめにブラッシングしてあげましょう。嫌がる子は、1回数分ずつでも大丈夫です。 まとめ • 毛玉は、抜けきらずに残った抜け毛が絡まってできる • 軽い毛玉はスリッカーとコームでほぐせるが、フェルト状の毛玉は皮膚に張り付いているので無理に取らない • 毛玉をハサミで切るのは皮膚を切る危険があるため厳禁。必ずバリカンで • 予防には、定期的なサロンでのお手入れと、おうちでのスリッカー+コームの正しいブラッシング 毛玉は見た目の問題だけでなく、皮膚が引っ張られたり、蒸れて皮膚トラブルの原因になったりもします。「これって取れる毛玉?」「ブラッシングのやり方を教えてほしい」など、気になることがあれば、お気軽にまりんハウスのスタッフにご相談ください。