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【愛玩動物看護師が教える】おうちでできる! 愛猫の健康チェックガイド

ケア

こんにちは。キャットホテルまりんハウスです。 当ホテルでは、愛玩動物看護師がお預かりしている猫ちゃんたちの体調を毎日しっかり観察し、ちょっとした変化も見逃さないよう努めております。

そんな日々のお世話の中で、私たちが実際に行っている「健康チェックの基本」を、今回は飼主様向けに分かりやすくまとめてみました。 猫ちゃんは体調不良をギリギリまで隠す動物と言われています。「なんだか元気がないな」と気づいた頃には、すでに病気がかなり進行している、ということも少なくありません。

だからこそ大切なのが、毎日おうちで行う”ちょっとした健康チェック”。 特別な道具はいりません。スキンシップのついでに、1日1〜2分で十分です。 ぜひ今日から習慣にしていただけたら嬉しいです。


1. BCS(ボディコンディションスコア)〜愛猫の”体型”は適正ですか?〜

まず最初にご紹介するのが BCS(Body Condition Score/ボディコンディションスコア) です。 これは動物病院でもよく使われる指標で、猫ちゃんの太り具合・痩せ具合を5段階、または9段階で評価する方法です。

体重だけでは「その子にとっての適正」は分かりません。同じ4kgでも、骨格が大きい子にとっては痩せすぎ、小柄な子にとっては肥満、ということもあります。 そこで大切になるのが、見た目と触り心地で判断するBCSです。

◆ BCSの5段階チェック

ここではご家庭でも分かりやすい5段階評価でご紹介します。

BCS状態見た目・触った感じ
1/5痩せすぎあばら骨が浮いて見える。背骨や骨盤もゴツゴツ触れる。お腹は極端にへこんでいる。
2/5やや痩せあばら骨が簡単に触れ、うっすら見えることも。ウエストがはっきり締まっている。
3/5理想体型あばら骨は軽く触れるが見えない。真上から見るとゆるやかなウエストがある。横から見るとお腹が少し引き締まっている。
4/5やや肥満あばら骨に脂肪がのっていて触れにくい。ウエストがはっきりしない。下腹に脂肪のたぷたぷ(primordial pouch以上の脂肪)。
5/5肥満あばら骨が厚い脂肪で覆われ触れない。ウエストが消失し、むしろ樽型。歩くとお腹が揺れる。

◆ おうちでの確認ポイント

BCSは 「見る」と「触る」の両方で確認するのがコツです。

  1. 真上から見る…ウエストのくびれがありますか? 肋骨の後ろが少し細くなっているのが理想です。
  2. 横から見る…お腹のラインが、胸からお尻にかけてゆるやかに上がっていますか? まっすぐだったり、下に垂れていたら要注意。
  3. あばら骨を触る…手のひら全体で胸の側面をなでてみてください。**”薄手のセーターの上から肋骨を触った感じ”**が理想です。ゴリゴリ感じるなら痩せ気味、全然触れないなら太り気味のサインです。

**補足:**猫ちゃんの下腹には「ルーズスキン(primordial pouch)」と呼ばれる自然なたるみがあります。これは脂肪ではなく正常な構造なので、ルーズスキンだけで「太った」と判断しないようご注意くださいね。

肥満は糖尿病・関節疾患・肝リピドーシスなど、多くの病気のリスクを高めます。逆に急な体重減少は、甲状腺機能亢進症・腎臓病・腫瘍など重大な疾患のサインのことも。 月に1回は体重測定とBCSチェックをおすすめします。


2. CRT(毛細血管再充満時間)〜血液の巡りは大丈夫?〜

次にご紹介するのが CRT(Capillary Refill Time/毛細血管再充満時間)。 あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、全身の血液循環が正常かどうかを数秒で調べられる大切な指標です。

◆ CRTのやり方

  1. 猫ちゃんの**上唇をそっとめくり、歯ぐき(上の犬歯の少し上あたり)**を見ます。
  2. 指の腹で歯ぐきを2〜3秒軽く押して、一瞬白くします。
  3. 指を離した瞬間から、白くなった部分がピンク色に戻るまでの秒数を数えます。

◆ 判定の目安

  • 1〜2秒以内にピンクに戻る → 正常 ◎
  • 2秒以上かかる/なかなか戻らない → 血液循環が悪いサイン。ショック・重度の脱水・心臓の不調などが疑われます。
  • 押しても色が変わらない・戻りがものすごく早い(1秒未満で鮮やかに戻る) → これも異常のサイン(敗血症や中毒など)。

「歯ぐきを触るなんて無理!」という子も多いと思います。 無理強いは禁物ですが、日頃から口周りを触らせてくれる練習をしておくと、いざという時に体調チェックもしやすく、歯みがきや投薬もスムーズになります。 お迎えしたばかりの子猫ちゃんや、人に慣れている子は、おやつのあとなどリラックスしているタイミングで少しずつ慣らしていきましょう。


3. 舌・歯ぐき(粘膜)の色チェック 〜色は体調のサイン〜

CRTと合わせて、ぜひ見ていただきたいのが **粘膜の”色”**です。 歯ぐき・舌・唇の裏側の色は、体の中の酸素・血液・内臓の状態を驚くほど正直に教えてくれます。

◆ 正常な色

健康な猫ちゃんの歯ぐき・舌は、きれいなサーモンピンク〜薄いピンク色をしています。 (※ただし、もともと口の中に黒い色素沈着がある子もいます。その子の”普段の色”を知っておくことが何より大切です。)

◆ 注意が必要な色

考えられる状態緊急度
真っ白・青白い(蒼白)重度の貧血・出血・ショック状態🚨 すぐ病院へ
青紫・紫色(チアノーゼ)酸素不足。呼吸器疾患・心臓病・重度の貧血など🚨🚨 一刻を争います
黄色っぽい(黄疸)肝臓疾患・胆管の異常・重度の溶血🚨 早急に受診
真っ赤・充血発熱・中毒・敗血症・一酸化炭素中毒など🚨 早急に受診
泥のような濁った色重度の循環障害🚨🚨 一刻を争います

◆ 特に怖い「チアノーゼ」について

粘膜の色が青紫色になっている状態をチアノーゼと呼びます。 これは体内に酸素が十分に行き渡っていないサインで、非常に危険な状態です。 心臓病、重い喘息発作、肺水腫、気管支異物、猫伝染性腹膜炎(FIP)の胸水貯留、熱中症など、さまざまな重篤な疾患で見られます。

開口呼吸(口をあけてハァハァ息をしている)+粘膜の紫色は、猫ちゃんにおいては命に関わる緊急サインです。 興奮や運動直後以外で開口呼吸が見られたら、それだけでも受診の目安と考えてください。 「ちょっと休ませれば治るかな?」と様子を見ているうちに手遅れになることがあります。迷わず、すぐに動物病院へ。


4. 目のチェック 〜透き通った輝きはありますか?〜

次は目の観察です。 健康な猫ちゃんの目は、ガラス玉のように澄んでいて、しっとりとした輝きがあります。

◆ チェックしたいポイント

  • 左右の目の大きさ・瞳孔の大きさはそろっていますか? → 片方だけ瞳孔が大きい・小さい場合は、神経系の異常や眼の病気の可能性があります。
  • 目ヤニは普段と変わりませんか? → 少量の黒っぽい目ヤニは正常。しかし、黄色・緑色の目ヤニ、ドロッとした目ヤニは感染症のサインです。
  • 白目(強膜)や結膜の色は? → 赤く充血している/黄色っぽい場合は要注意。特に黄色い白目は黄疸のサインで、肝臓の病気が疑われます。
  • 目が白く濁っていませんか? → 白内障、角膜の病気、ぶどう膜炎などの可能性があります。
  • 瞬膜(目頭から出てくる白い膜)が出ていませんか? → 瞬膜(第三眼瞼)が常に出ている場合、体調不良・脱水・ホルナー症候群・腸の病気など、さまざまな不調のサインです。 「目が半分閉じているみたい」「白い膜が目頭に見える」と感じたら、受診をおすすめします。

◆ 日頃の観察のコツ

同じくらいの明るさの部屋で、**毎日同じタイミング(例えば朝の挨拶のとき)**に顔を見てあげると、変化に気づきやすくなります。 写真を撮っておくと「先週の目とちょっと違うかも?」と比較しやすいのでおすすめです。


5. 鼻のチェック 〜”濡れている=健康”は半分本当、半分誤解〜

「猫の鼻が乾いていたら体調が悪い」というお話、聞いたことがありませんか? これは半分正解で、半分誤解です。

◆ 健康な鼻の状態

健康な猫ちゃんの鼻は、通常ひんやりと、うっすら湿っているのが一般的です。 ただし、寝起き・寝ている最中・暖かい場所にいるときは、健康でも自然に鼻が乾いていることがあります。 「乾いている=即、病気」ではないので、慌てないでくださいね。

◆ 注意したい状態

  • カサカサに乾いて、ひび割れている/皮がめくれている → 発熱・脱水のサインかもしれません。
  • 鼻水が出ている → 透明でサラサラならまだ軽症のことが多いですが、黄色・緑色・血が混じる場合は、感染症や鼻の腫瘍、異物などが疑われます。
  • 片方の鼻からだけ鼻水が出る → 異物や腫瘍、歯の根っこの病気などの可能性があり、要注意です。
  • 鼻の頭が冷たすぎる/青白い → 体温低下やショックのサインかも。

◆ 鼻は「湿り気」よりも「呼吸の様子」と一緒に見るのがコツ

鼻単体で判断するより、「スースーと静かに呼吸しているか」「開口呼吸になっていないか」「呼吸の回数は多すぎないか」と合わせて見てあげましょう。 安静時の猫ちゃんの呼吸数は1分間に20〜30回程度が目安です。 胸やお腹の動きを数えてみて、40回を超える、明らかに荒い、お腹で呼吸しているようなら、迷わず受診してください。


6. その他、あわせて見てあげたいポイント

最後に、毎日のチェックに加えていただきたい観察ポイントをまとめておきます。

  • 食欲・飲水量…いつも通り食べているか。水を飲む量が急に増えていないか(腎臓病・糖尿病のサイン)。
  • トイレの回数と様子…おしっこの量・色・回数。特に **「トイレに行くけど出ない」**は尿道閉塞の可能性があり、オス猫では数時間で命に関わる緊急事態です。
  • うんちの状態…硬さ、色、血や粘液の有無。
  • 被毛のツヤ…毛づくろいが減るとボサボサに。痛みや体調不良のサインのことも。
  • 脱水チェック…首の後ろの皮膚を軽くつまんで離し、すぐに戻れば正常、戻りが遅ければ脱水の可能性あり。
  • 体温…耳や肉球が異常に熱い/冷たいと感じたら要注意。正常な猫ちゃんの体温は **38.0〜39.2℃**です。

まとめ 〜”いつもの姿”を知っていることが、最大の予防〜

ここまで、おうちでできる健康チェックをご紹介してきました。

  • BCS で体型を知り、
  • CRT で血液の巡りを確かめ、
  • 粘膜の色 で酸素や内臓のサインを読み取り、
  • 目と鼻 で体調の微妙な変化を感じ取る。

どれもすぐに始められる、シンプルな観察です。

でも何より大切なのは、「うちの子のいつもの姿」を知っていることです。 普段のBCS、普段の歯ぐきの色、普段の目のきらめき、普段の鼻の湿り具合。 これを知っている飼主様だからこそ、**「いつもと違う」**という最強のセンサーが働くのです。

そして——「なんとなく変」「うまく説明できないけど気になる」、その飼主様の直感は、とても正確です。 迷ったら、様子を見るよりも、かかりつけの動物病院にご相談ください。早期発見・早期治療は、それだけで寿命を何年も延ばすことがあります。


キャットホテルまりんハウスより

当ホテルでは、愛玩動物看護師が常駐し、お預かりしている猫ちゃん一頭一頭を毎日観察・記録しております。 お預け中に体調の変化を感じた際には、速やかに飼主様にご連絡し、必要に応じて提携動物病院とも連携して対応させていただきます。

ご旅行やご出張、ご家庭のご事情での一時預かりはもちろん、**「普段の様子を第三者の目でもチェックしてほしい」**というご希望にもお応えしております。 ご不安な点がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいね。

愛猫との毎日が、より安心で、より健やかなものになりますように。

キャットホテル まりんハウス